研究課題
研究活動スタート支援
本研究は、米国の政府系ボランティア組織ピースコーの隊員撤退の要因・経緯・撤退時のプロセスを公文書や隊員の手記等から分析し、これまで注目されてこなかった政府系ボランティア組織を取り巻く安全に関する検証を行った。調査対象地は、反米運動が盛んであったボリビア、米国が軍事侵攻を行ったドミニカ共和国、大地震が発生したペルーの3ヵ国とし、アーカイブ調査を進めた。その結果、災害発生や治安悪化のみが主な撤退の要因とは限らず、米国と任国の間における外交政策や反米運動の有無がより強く関係していることがわかった。
開発人類学
ピースコーは、これまでに23万人以上の一般市民を派遣した政府系国際ボランティア組織であり、隊員数、派遣国数と群を抜いている。ピースコーの撤退事例を調査・整理することは、日本の青年海外協力隊を始めとする国際協力に携わる多様な組織の任国との関わり方を再考する材料となるうえに、組織間の比較を可能にし、当該分野における開発支援をめぐる国際関係の検証と安全管理の改善に寄与するものである。