低ナトリウム血症が心不全患者の予後を悪化させる関連性が以前より指摘されていた。今回の研究結果より低ナトリウム濃度への曝露が直接的に心筋細胞に作用し細胞内カルシウム過負荷や活性酸素種増加を介して細胞障害を惹起することを明らかにした。さらに低ナトリウム血症への曝露により虚血再灌流に対する脆弱性が亢進することも見出した。これらの研究結果は低ナトリウム血症の予防と補正が心疾患の発症と増悪の抑制に有効である可能性を強く示唆している。特に虚血性心疾患における心筋ダメージが低ナトリウムにより拡大することから再灌流療法前に介入することで有望な治療ターゲットとなりうると考える。
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