国際政治における紛争解決に貢献する国際組織としては国連が最も知られている。しかし1990年代以降の内戦型の紛争の頻発、そして2000年代以降の脆弱国家と言われるようになった紛争が繰り返し起こる国への対応においては、世界銀行をはじめとする多国間銀行の関与が進んだ。地域開発銀行もその一環として、しばしば世界銀行や他の地域開発銀行と連携して、紛争の解決に取り組むようになったが、国際政治学における紛争研究においてほとんど正面から取り上げられることがなかった。これら多くの資金力を有する地域開発銀行の役割と限界を分析した本研究は脆弱国家での復興をどのように行うのかを考える際に示唆するところがある。
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