研究成果の概要 |
ACTスタッフは,利用者に振り回されるくらい寄り添い,苦楽を共にする中で利用者への眼差しが変化していた.そして,医学モデルの優位性を下げ,人間らしさの本質や日常の良識に目を向けながら利用者自ら思考し,責任を負い,夢や希望といった自己実現を目指しながら地域で自分らしく生きることを支えていた.この利用者の主体化への支援こそが,地域生活の維持から,リカバリーという状態へと方向づけていくための分岐点となっており,結果として利用者の精神症状の安定をもたらしていた. 日本の精神医療を地域生活中心へと転換するためには,こうした専門性を携えながら,利用者を中心に据えた支援体制の構築を図ることが不可欠である.
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