本研究では、協力の一つである分業の存在を検証すると共に、種間競争に対する分業が植物群集に及ぼす影響を評価することを目的とした。根分割栽培実験により、他種との競争に曝される集団外縁部のオオバコ個体は集団中央部のオオバコ個体にくらべて競争へ多く投資し、集団中央部の個体はより成長へ投資する事が明らかになった。さらに、個体群内の遺伝構造を変えたメソコスム実験により、オオバコ個体群内の遺伝的多様性が増加するとオオバコの生存率が低下し、他種が繁茂することが示唆された。これらの結果から、オオバコは種間競争に対して近縁個体と協力的にふるまい、その効果は植物群集の構造にまで波及しうることが示唆された。
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