研究課題
基盤研究(C)
培地に活性酸素種が蓄積すると、微生物の増殖が抑制され、食品中の有害な細菌の検出が妨げられる可能性がある。本研究では、電子スピン共鳴法で培地内活性酸素が損傷大腸菌の検出に及ぼす影響を評価した。その結果、培地中に蓄積されたヒドロキシラジカルの減少と損傷した菌の回復にある程度の相関が見られ、加熱損傷した大腸菌では、6種の活性酸素消去剤の添加によって損傷大腸菌の検出率を向上させることを明らかにした。
食品化学
食中毒を疑う事件が発生した場合、原因となる微生物の種類や混入経路を明らかにすることは、その後の食中毒対策のために重要である。しかし、実際には2割程度の食中毒事例において原因食材及び混入経路が不明のままとなっている。この原因として、環境ストレスによって原因微生物が損傷状態にあり、既存の培地及び培養法では損傷菌の検出が難しいこと、が挙げられている。本研究成果により損傷菌の検出率を向上させることで、食中毒の原因を明確にし、その発生の減少に貢献する。