日本のクモキリソウ節植物を用いて、植物の進化に伴う菌根菌の変化と、菌パートナーのシフトに伴う菌根形成過程の変化を明らかにすることを目的に、菌根菌の分子系統解析、共生培養実験、形態学的調査等を行った。これらの植物は、菌根菌に対して高い特異性を持ち、植物の系統ごとに異なるTulasnellaのグループを菌パートナーとすることから、Tulasnellaグループ内で菌根菌パートナーを変えながら多様化したと考えられる。さらにスズムシソウの共生培養下での胚発生の内部構造観察から、発芽時における菌根菌の成立過程には複数の段階があり、非スズムシソウ菌種とではいずれか特定の段階で共生が妨げられると推定された。
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