ヒトや四足動物でみられる予期的姿勢調節(APA)は明らかな四肢の運動が始まる前に起こる姿勢変化である.経験上,我々ヒトが次の行動を見越してどのようなAPAを行うかは,学習を通して獲得された予測戦略に左右される.これは動物でも同様であろうという仮説が立てられる.この仮説をネコで検証するため,2頭のネコを訓練し,規則的(3試行ごと)に標的の位置が左から右,あるいは右から左に交代する遅延到達運動課題を行わせながらネコの重心位置の水平成分(CVP)を測定した.毎試行で標的が現れる前のCVPを解析した結果,ネコは標的位置の変化の規則性を学習し,次の標的位置を予測した上で姿勢調節を行っていると考えられた.
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