研究課題
基盤研究(C)
抗体薬物複合体であるトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)に金ナノ粒子を結合することで作成した金ナノ粒子結合T-DM1(ATDM1)は、T-DM1と比較し、HER2陽性胃癌細胞株に、HER2依存的により多く取り込まれることで強力な細胞障害活性を発揮した。さらに、バイスタンダー効果を介して、その周囲のHER2陰性細胞株に対しても、有意な細胞障害活性を発揮することが証明された。
消化器外科
胃癌治療の課題のひとつが組織不均一性の克服であるが、本研究成果は、乳癌で主に臨床使用されている抗体薬物複合体であるT-DM1に金ナノ粒子を結合させることで、HER2陽性の標的細胞への薬物送達を向上させることができ、さらにバイスタンダー効果を介してその周囲の非標的細胞にも治療効果を期待できることから、組織不均一性を有する胃癌などの癌腫に対する新規治療薬の開発につながる可能性を秘めたものと考えられる。