銀行合併に関するこれまでの実証研究は、銀行のコスト効率性の変化や融資や預金金利の変化など、断片的なものにとどまっており、資金需要関数と供給関数を同時推定したうえで、ユーザーと銀行の経済厚生を合計した社会的厚生への影響を計測したのは本研究が初めてである。近年相次ぐ地方銀行合併に関しては、その競争制限的効果とコスト効率性向上効果に関する見立ての違いから、しばしば政策論争となっている。進捗が予定よりも遅れてしまい、未完ではあるものの、今後1-2年のうちに本研究の内容をまとめた論文を公表する予定であり、この論争に有用な情報を提供することになると期待される。
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