研究課題
若手研究
ヒト大腸癌のオルガノイドにフソバクテリウムを感染させるとオルガノイドに形態変化が起こり、細胞の増殖能や遊走能が向上することを、RT-PCR、蛍光免疫染色、ウェスタンブロッティングを用いて証明した。そのオルガノイドをマウス脾臓に移植すると数週間で肝転移が得られる。フソバクテリウムの影響により転移巣の数や体積は増えたように見えた。今後、マウスの個体数を増やし統計学的な検証が必要である。本研究によりフソバクテリウムが上皮間葉転化の促進を通じて大腸がんの転移に寄与していることが示唆された。
消化器内科
国立がん研究センターが公表している2020年のがん統計のまとめによると、大腸がんの死亡数の順位は男性で3位、女性では1位で、今後も死亡数が増えていくことが予想される。大腸癌は他の癌種よりも様々な治療選択枝があるものの十分とは言えず、フソバクテリウムが大腸癌の発癌や進展に与える影響を解明できれば、フソバクテリウムが新しい治療ターゲットになりえる可能性がある。本研究はその一端を示すことができたと考えており、本研究を基礎から臨床に広げていくことが重要であると考えている。