研究課題/領域番号 |
21K04352
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 幸平 京都大学, 生存圏研究所, 特任教授 (20283674)
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研究分担者 |
北守 顕久 大阪産業大学, 工学部, 准教授 (10551400)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 繊維直交方向 / めり込み / 斗 / 肘木 / 減衰定数 / 上載荷重 / 摩擦 / ダボ |
研究成果の概要 |
中国に現存する古代木造寺院建築物に見られる斗きょうを多重配置した畳斗構造と、梁と斗きょうだけで壁を構成した扶壁きょう構造に注目し、畳斗については、1層~5層のモデル試験体を用いた静的実験並びに正弦波掃引実験を行い、木質ダンパーとして期待できる高減衰性能を確認した。扶壁きょうについては、斗きょうの配置形式、数、上載荷重の大小等を変化させたモデル試験体を用いて上載荷重を加えた静的繰返し実験を行い、その復元力特性は桁と巻斗間のクーロン摩擦が主で、木ダボの剪断抵抗が若干加算されたものであると推定した。本研究で取り上げた重層斗きょうは地震動に対し木質ダンパー的な役割を担っていたのではないかと推定された。
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自由記述の分野 |
木質構造科学分野
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
木材と鉄そして石を利用して驚異的な木造寺院建築物を造り上げていた古代において、建築を主導していた大工頭領などの技術者は、木材がその長軸方向に対して直交する方向に力を受けた場合にその細胞構造が柔軟に変形して大きな荷重に耐えられることを良く知っていた。屋根を大きく張り出すために生み出された斗と肘木を組み合わせた斗きょう構造はこの木材組織構造の柔軟な変形特性を巧みに活用して大きな屋根荷重を各所に分散配置させ、さらにその重さを再利用して地震による横揺れを減らすダンパー的な役割も演じていたのではないだろうか。本研究の成果は以上の推論のごく一部をモデル的に確認したものとして意義があると考えられる。
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