本研究は、コレステロール制御に重要なABCA1遺伝子が神経再生における伸展する軸索の分枝を抑制していることを明らかにした。ABCA1は細胞膜上のコレステロール量を過剰な場合は細胞外に排出し、適切なコレステロール量を恒常する重要な遺伝子である。これは学術的に神経再生において脂質量制御が重要であることが示され、また一般的な細胞における脂質ホメオスタシスのメカニズムを明らかにする手がかりとなる。一方、神経再生治療において、既知の脂質代謝疾患に関する薬剤が効果をもたらす可能性も示唆された。このように脂質代謝異常と神経障害に関する知見が本研究によって相互に影響し、医療につながる社会的意義をもたらした。
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