研究課題
若手研究
本研究では、外見に基づく差別について、とりわけ差別する側の実態にアプローチした。具体的には、履歴書の顔写真が採用選考の判断にどのように影響しているかを明らかにするために、企業の採用担当者を対象にした履歴書評価実験を行った。調査の結果、能力や適性とはかかわりのない顔写真が、採用選考の判断において影響していることがわかった。そのなかでも特に肥満や茶髪、見た目問題の症状がある応募者がネガティブに評価されていた。
社会学
外見差別をめぐる国内の運動・研究では十分に明らかにされていなかった差別する側、つまりは採用担当者にアプローチすした点が新奇性がある。また、2021年に履歴書の様式が改定され、性別欄への記入が任意になるなど、運動の成果が実を結びつつある。本研究の成果は、履歴書の顔写真が採用選考の判断に影響していることを示しており、これは、公正な採用選考を行うよう指導する立場にある厚生労働省にさらなる履歴書の改定を求めて働きかけるための根拠になるものであり、差別の解消に向けた社会的な意義は大きい。