研究課題
若手研究
本研究では、高強度・軽量であり航空宇宙分野で広く使われる炭素繊維複合材料の製造過程で避けることのできない欠陥を起点とした損傷進展挙動を評価した。任意の大きさの欠陥を導入する技術を開発し、最小で2.5μmの人工欠陥を材料中に導入した。欠陥から発生する亀裂を高倍率の光学顕微鏡で観察した。試験機と同期した観察装置を構築することで、実用上重要となる繰返し(疲労)荷重下での観察も行った。さらに、数値解析によって実験からはわからない欠陥周辺の応力分布も可視化した。
材料強度学
炭素繊維複合材料中の欠陥は寸法や位置、分布を制御できないため従来は欠陥を起点とする亀裂進展挙動を定量的に評価することは困難とされてきた。本研究では位置と大きさが制御された欠陥をひとつだけ材料中に導入できるため、欠陥の影響を定量的に評価することが可能となった。これにより、これまでは「材料のばらつき」として取り扱われてきた積層板の寿命をより正確に予測できるようになることが期待される。これは航空宇宙分野をはじめとした複合材料の信頼性が求められる分野で重要な知見である。