研究課題
挑戦的研究(萌芽)
原子間力顕微鏡カンチレバーの熱揺らぎに含まれる物理量を利用してナノ構造物性を可視化する技術の開発を行った。カンチレバーの熱揺らぎの大きさ、速度揺らぎ、たわみ量からエントロピーカーブを生成し、構造物性評価を試みた。しかしながら、現状では重要な熱力学量であるエントロピーを完全に再構成することができなかった。一方、カンチレバーの速度揺らぎを用いたイメージングでは高いコントラストで画像を得ることができた。
生物物理学
原子間力顕微鏡はナノメートルスケールの大きさをもつ試料を水溶液中で観察が可能な装置であり、タンパク質などの生体分子の観察に広く用いられている。測定にはカンチレバーと呼ばれる微小な板バネが用いられる。観察時に生じるカンチレバーの熱的な挙動の変化を捉え、画像化することに成功した。これにより、これまで検出することができなかった構造物性の可視化につながり、原子間力顕微鏡を用いた研究手法の発展に寄与することができる。