研究課題
挑戦的研究(萌芽)
琉球列島沿岸に形成されるタコ類の高密度分布域「オクトポリス」をタコ類の社会性の観点から探ることを目的とし、(1)オクトポリスにおけるソデフリダコの個体間相互交渉の野外検証、(2)社会性に関わる脳領域の比較解剖学的検証を実施した。項目(1)では沖縄島沿岸を野外調査し、ソデフリダコ同士および異種と様々な行動を示す様子を確認した。項目(2)ではソデフリダコの脳を観察し、大きさの異なる複数の領域を特定した。
動物行動学
本研究で調査したオクトポリスは広大であること、それは琉球列島という特異な場所で成立することを示した点で意義深い。また、そこに生息するソデフリダコは、顕著な社会性を示す種であり、それが脳構造にも反映されていることを示し得たことで、タコ類は単独性という定説に再考を促す契機となった。一方、タコ類は水産物として重要であるが、本研究の成果は水産資源としてのタコ類の動態についても有用な情報を提供した。