本研究は、日本の大都市における社会空間的分極化の兆しを鑑み、わが国に先んじて都市モニタリングを実施し、かつ政策との連動性がみられるドイツを対象として運用実態と課題を明らかにすることを研究の目的とした。ベルリン・ハンブルク・ミュンヒェン・ケルンの4大都市でのインタビュー調査を踏まえて、最も先進的と考えられるハンブルク市の事例調査からは、1.世界的な潮流ともいえる大都市内でのセグリゲーションを正確に把握するためにドイツでも都市モニタリングが必要とされていること、2.モニタリング結果に対しては方法論的にも改善の余地があり、市民社会との丁寧な対話や結果の慎重な解釈が必要であること、が明らかとなった。
|