Project/Area Number |
19K12490
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
藤井 嘉祥 摂南大学, 国際学部, 准教授 (30625190)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | グローバル・バリュー・チェーン / ガバナンス / 労働人権 / 産業高度化 / 社会的高度化 / 制度変化 / グアテマラ / メキシコ / 中米 / グローバル・バリューチェーン |
Outline of Research at the Start |
ラテンアメリカにおいて輸出志向工業への依存度の高いメキシコと中米諸国では、グローバル・バリューチェーン(GVC)の持続的な発展のための社会基盤の強化が喫緊の課題となっている。商品の健全性に対する消費者意識の高まりという現代の時代背景を踏まえて、本研究はGVCに関わる労働者の人権尊重の観点から、ラテンアメリカにおいてGVCの持続的発展のための社会基盤の形成に必要な国際的・国内的条件を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グアテマラのアパレル産業とメキシコの自動車産業を事例として、グローバル・バリューチェーン(GVC)における途上国の経済発展を労働人権の視角から分析し、「社会基盤の強化に基づくGVCの持続的発展」の分析枠組みを提示することを目的としている。2022年度までの研究から次の2点が明らかになった。第一に、労働行政における中央政府の不十分なイニシアティヴの問題を抱えるメキシコとグアテマラでは輸出部門で慢性的な労使紛争を抱えている。第二に、労使紛争の発現は、アパレル産業ではGVCの内部の企業と外部の監視組織の間で、自動車産業ではGVCの内部アクターである事業所内の経営と労組の間でそれぞれ主に見られる。 2023年度はアパレル産業と自動車産業における労組とNGOの役割の分析に取り組んだ。メキシコの自動車産業では2020年の米加との新貿易協定USMCA発効以降、貿易協定の枠内での労使紛争の調停件数が増加しており、その背景に米国自動車労組とメキシコ自動車労組の強い連携があることが明らかになった。対してグアテマラのアパレル産業では組合運動の規制が依然強く、米国労組との連携も弱いため、労働人権侵害の監視・調査をNGOに依存している。米国・中米自由貿易協定(CAFTA)の調停機能も弱い。 以上の成果には次のような意義がある。GVC構築によるグローバルな企業間関係の深化の一方で、自動車産業では労働者のグローバルな連携が強化され、GVCの内部で労働人権の保障へ向けた調停や対話の風土が醸成されつつある。他方アパレル産業では労働者のグローバルな連携が未発達ゆえにGVC内部での労使のパワーバランスが不均衡である。このことから、労働人権の改善について自由貿易協定の労使紛争調停と労働者のトランスナショナルな連携が重要になりつつあると指摘できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度までに上述のような成果が手元では得られているが、これまでの介護とコロナ禍、リハビリを要する身体動作不調等により、成果公表が遅れている。また、本研究において現地調査が重要であるが、オンラインによる聞き取りがインフォーマントの事情により不調に終わっており、十分な成果につながっていない。2022~23年度は研究代表者が長期のリハビリを要し、海外渡航ができていない。2024年度は渡航機会を模索しつつ、二次資料と統計分析を活用しながら客観的事実を蓄積したのちに、成果を公表するよう努める。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地調査に基づく一次資料が不足しているが、二次資料および統計資料によって補完しながら成果公表を進める。アパレル産業と自動車産業における労組の役割の比較、および労組の役割の違いがGVCの倫理的側面に及ぼす影響について投稿論文として活字化するとともに、最終報告書の作成に取り組む予定である。同時に現地調査の機会を模索しつつ、同時にオンラインでの聞き取りを可能な限り進める。また労働人権に関する最新の実証研究や数量的研究も援用して不足を補う方策を取る。
|