Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
ハドロンの系を支配する強い相互作用を、その基礎理論のSU(3)ゲージ理論であるQCDから直接理解すべく、格子QCD計算を行った。格子QCDは、強い相互作用に対する強力な第一原理計算としてその地位を確立している。この研究の一環として、我々は、SU(3)ゲージ相互作用に従う、スカラー粒子の性質を調べた。本来は質量ゼロのクォークは強い相互作用の結果、カイラル対称性の自発的破れを引き起こし、数百MeVという大きな構成子的質量を獲得するのであるが、特別な対称性を持たないスカラー粒子を調べることにより、この質量獲得のメカニズムを理解するのが目的である。その結果、スカラー粒子も同様に、1GeV以上の大きな有効質量を獲得することを示した。これは、QCDの強結合性によりスカラー粒子がグルーオンの衣をまとい、その結果大きな質量を獲得したと考えられる。このようなことから、SU(3)ゲージ相互作用に従う粒子は、普遍的に、大きな有効質量を獲得すると予想している。また、我々は、カイラル対称性の自発的破れのメカニズムを微視的に理解するために、(QCDと性質が似ている)compact QEDの系を調べた。その結果、カイラル対称性の自発的破れに直接関与するディラック演算子のゼロ固有値付近のモードは、真空中に存在するモノポールカレントと負の相関があることを示した。これは、カイラル対称性の破れにはモノポールの自由度が重要な役割を果たしていることを意味する。モノポールの自由度は、カラーの閉じ込めにも重要な役割を果たしており、「カイラル対称性の自発的破れ」「カラーの閉じ込め」の両者は密接に関係していることが予想される。
All 2007 2006 2005 2004
All Journal Article (12 results)
国際会議17th International Spin Physics Symposium (SPIN06)の紀要 (未定)(印刷中)(出版予定)
AIP Conference Proceedings 掲載予定
Physical Review D72
Pages: 14505-14505
Physical Review D71
Pages: 114509-114509
Physical Review Letters 94
Pages: 192001-192001
Proceedings of Science LAT2005
Pages: 71-71
Nuclear Physics (Proceeding Supplement) B141
Pages: 92-92
Nuclear Physics A(発表予定)
AIP Conference Proceedings (発表予定)
Physics Review D70
Pages: 74506-74506