研究課題
基盤研究(C)
科学研究費補助金の交付を受けた3年間に、3つのテーマについて研究を行った。第1は唐代道教造像の研究、第2は唐代巴蜀地方の道教関係石刻史料の研究、第3は司馬承禎に関連する石刻史料の研究である。まず、これらの3つのテーマについての基礎史料の収集を行い、研究を進めた。この3つのうち、特に大きな成果を得ることができたのは、唐代道教造像の研究である。唐代道教造像については、これまで中国美術史・道教史の方面から断片的な研究はなされてきているが、総合的な研究はなされていない。本研究では、現在知りうる唐代道教像の全体を見通すために、先行研究による調査・報告を整理し、日本国内に所蔵する唐代道教像については実地調査・写真撮影を行った。研究成果報告書には、唐代の道教像として95の像例を製作年代順に並べ、銘文・参考文献・図像写真を掲載した。あわせて、唐代道教像の概要と特徴についてまとめた文章を載せた。95の像例の中には、道教史上、注目すべき重要なものも含んでいる。それらについては、今後、研究を深めたいと考えている。この間、唐代道教像の史料収集とあわせて、隋代の道教像についても史料収集を行い、その研究成果として、18年3月に論文「隋代の道教造像」を発表した。また、唐代には天尊像・元始天尊像を道教の主神とすることが定着するが、その源である六朝時代の霊宝経の思想における天尊・元始天尊の問題については、17年11月に「天尊像・元始天尊像の成立と霊宝経」と題する口頭発表を行った。
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