研究概要 |
本研究では,Eラーニング環境を「学習者」と「編集者」の間でおこなわれる学習コンテンツを媒体としたコミュニケーションであるとみなし,双方にEラーニング環境の利用情報をフィードバックすることで,このコミュニケーションチャンネルを拡張し,両者を同時に支援するEラーニング環境の構築を目的としている. 昨年度までの研究成果から,学習者の成績や興味などのユーザ特性は様々な要因により時間とともに変化し,また,その変化速度もユーザにより異なる.そのため,協調フィルタリングなどのクラスタリング手法によりテストスコアが類似した学習者を分類するだけでは,ユーザモデルおよびコミュニティモデルを抽出することは困難である.ユーザ特性や他のユーザとのインタラクションの時間的変化を捉えることが,ユーザモデルおよびコミュニティモデルを構成する上で重要であるという知見を得た. 本研究では,ユーザ特性の時間的変化を可視化するためのケーススタディとしてWebアクセスログの解析を行い,ユーザが閲覧したWebページの時間的変化からユーザ興味の時間的遷移パターンを可視化する方法および可視化ツールを提案した,そして,実際にWeb視聴率データを用いて可視化を行い,ユーザ特性の時間的変化を抽出している. 次に,ユーザ間のインタラクションの時間的変化を捉えるために,OSS(Open Source Software)開発コミュニティにおけるメーリングリストを解析し,ユーザ間のインタラクションの時間的変化を可視化する方法および可視化ツールを提案した.そして,ユーザ間のインタラクションの変化およびコミュニティへの参加と離脱の時間的変化の可視化することで,個々のユーザの特徴を観察することができた. 以上の研究成果は2005年度の各種論文誌,資料集に掲載されている.
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