研究概要 |
有限個の文字を値にとる観測系列において,長さ有限の文字列(パターン)や連が起こるまでの待ち時間分布の厳密な分布の導出や確率計算とその統計的応用について研究を行ってきた. {0,1}-値独立な観測ベクトルの系列において,任意の2次元パターンがはじめて起こるまでの待ち時間分布を得るために,これまでの条件付き確率生成母関数の方法を拡張して,この分布の確率生成母関数の導出方法を与えた.この関数から正確な確率の計算が可能になり,従って2次元連続システムの信頼度の正確な計算が可能になった.具体的な数値例を与えた. {0,l}-値独立観測系列において,長さkの1の連がはじめて起こるまでの待ち時間分布はオーダーkの幾何分布として知られているが,これを{0,1}-値m次マルコフ系列に拡張して,長さkの1の連がはじめて起こるまでの待ち時間分布の確率生成母関数を,長さmの1の連の待ち時間分布の確率生成簿関数の関数として陽の形で与えた.またオーダーkの幾何分布とオーダーk-1の幾何分布の興味ある関係が示された. {0,1}-値独立観測系列において,常に1の出た回数は0の出た回数より多いという制約条件付きで,長さkの1の連がはじめて起こるまでの待ち時間の厳密分布の導出方法を与えた.これはマルコフ系列に対して拡張された.応用面では,この結果から機器のある種の初動試験による信頼度の計算が可能になり,これに関して,不完全なデータからパラメータを推定する問題およびその推定量の良さを調べた. 多値観測系列において,2つのパターンA,Bの待ち時間をそれぞれWA,WBとする.これまでの研究では系列が独立系列やマルコフ系列などの依存系列に対してMin{WA,WB}とMax{WA,WB}の一次元分布の導出や統計的応用の研究がなされてきていた.それに対して(WA,WB)の同時分布の確率生成母関数の導出方法を与えた。
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