研究課題/領域番号 |
20K17728
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鳥崎 友紀子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30867487)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 虚血再灌流 / 水素 / マウスモデル / 末梢血管 |
研究開始時の研究の概要 |
水素が活性酸素種に対する選択的な抗酸化作用を有していることが報告されて以来、種々の酸化ストレス反応に対する研究が報告されてきたが、メカニズムについては無細胞系と細胞培養系を用いた実験での提唱はあるものの、生体内でそれらが実際に起こっているかどうかの検証はなされていない。本研究では生体を蛍光顕微鏡下にて細胞レベルでリアルタイム観察できるナノ・イメージングシステムを用い、活性酸素の減少及びカルシウムの細胞内移動、リン脂質の酸化をリアルタイムで観察することで、水素分子の効果が活性酸素種の消去効果であることを証明し、生体内で有効な水素濃度・時間についても明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
下肢虚血再灌流モデルマウスに対して、両親媒性ポリマーを用いて可溶化したAPFを経皮的に投与し、リアルタイムイメージングシステムを用いて下肢筋組織内でのROSの発生をリアルタイムで撮像する実験系を作成した。イメージングシステムにて測定されたAPFの輝度は、虚血開始後に経時的に低下したが、再灌流後に上昇傾向を認めた。また、下肢虚血再灌流モデルに対して水素ガスの吸入投与を行い、虚血再灌流障害に伴う炎症反応が水素吸入群で有意に抑制された。虚血再灌流障害におけるROSの経時的な動態の観察を可能とし、また水素の吸入投与によって虚血再灌流に伴う組織障害が抑制される可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
急性動脈閉塞後の虚血再灌流障害は、発症すると致死的となることも多い病態だが、依然として虚血再灌流障害に対する確立された治療法や予防法は示されていない。また、過去に水素がROSに対する選択的な抗酸化作用を有していることが報告されてきたが、生体内におけるROSと水素の動態の検証はなされていない。本研究は下肢虚血再灌流モデルマウスにおけるROSの動態を可視化することを可能とした初めての研究である。また、マウスモデルにおける水素の虚血再灌流障害抑制効果が示唆され、急性動脈閉塞に伴う下肢虚血に対する実臨床での治療の発展への応用が期待される。
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