研究課題/領域番号 |
21H02522
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
宮川 信一 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 准教授 (30404354)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 性 / 生殖 / エストロゲン / 性分化 / メダカ |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類では遺伝的な性はほぼ変わらない(性転換などは基本的にはおきない)のに対し、メダカでは発生期にエストロゲンやエストロゲン作用を持つ化学物質が作用するとオスからメスへの性転換が起きる。また成魚においても、精巣中に卵が発生し(精巣卵)、肝臓では卵黄・卵膜タンパク質を産生するようになる。本研究は、このように動物種によって異なる性の可逆性の分子基盤を、エストロゲン受容体のクロマチンへの結合動態の面から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究はゲノム編集により作出したエストロゲン受容体(ESR)ノックアウトメダカ及びESR-3XFLAGノックインメダカを利用し、ESRのクロマチン上への結合動態及びエピゲノム修飾を明らかにすることを目的としている。メダカでは、オスの成魚にエストロゲンを作用させると、本来オスに不必要なはずの卵黄・卵膜タンパク質(ビテロジェニンやコリオジェニン)が肝臓で発現するようになる。メダカをはじめとする魚類には、3つのESRサブタイプ(ESR1, 2a, 2b)が存在するが、各ESRノックアウトメダカではいずれも発現量の程度は変化するものの、ビテロジェニンの発現していたことから、これら3つのESRサブタイプは協調してビテロジェニン遺伝子発現を調節していることが示唆された。ESR-3XFLAGノックインメダカは各ESRサブタイプのC末にFLAGを付加した融合タンパク質(ESR-3XFLAG)が発現するノックインメダカである。培養細胞によるレポーターアッセイにより、ESR-3XFLAGがエストロゲンに反応することを確認した。各ESRノックアウトメダカの肝臓におけるRNAシークエンスによる遺伝子発現解析についてはすでにランは終えており、解析中である。ヒストンマーカーのCut&Run-seqアッセイも条件検討を終え、すでにランは終えている。一方で、ESRのクロマチンへの結合動態を調べるための、ESR-3XFLAGノックインメダカを利用した(FLAG抗体を使用した)ESRのCut&Runアッセイについては現在条件検討を行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Cut&Runアッセイの条件検討に時間を費やしたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、各ESRノックアウトメダカの肝臓においてエストロゲンに応答する遺伝子のRNAシークエンスによる発現解析を進める。Cut&Runアッセイについては、まずはヒストンマーカーを用いたCut&Run-seq解析により、クロマチン状態をコントロールメス・コントロールオス及びエストロゲン曝露オスで比較する。その後、十分な条件検討を行った後、各ESR-3XFLAGノックインメダカを用い、FLAG抗体によるCut&Runアッセイによって各ESRのクロマチンへの結合動態を明らかにしていく。一方、発生期にエストロゲンが作用すると、遺伝型オスでありながら表現型がメスという機能的な性転換メダカが出現する。3つのESRサブタイプのうち、これまで性転換に寄与するサブタイプはまだ明らかとなっていない。各ESRノックアウトメダカにエストロゲンを曝露し、表現型の有無を調べることによって、性転換や精巣卵形成に関わるESRサブタイプを同定する。また、肝臓での実験同様に、遺伝子発現やヒストン修飾、ESRのクロマチンへの結合動態を解析する予定である。
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