研究概要 |
1.学習集団についての理論的研究 学習集団を,T.Tによる学習集団,クラスを単純に少人数に分割する学習集団,習熟度別の学習集団という3つの形態から捉え,それぞれの特徴とその実践効果を考察した。その結果,各形態の特徴を成績の向上に生かすことは容易ではないことが分かった。そして,得られた示唆はそれぞれの学習集団で柔軟に対応できる指導法を開発することの必要性であった。そこで生まれたのが,以下に述べる,チーム授業と類似探求授業である。 2.チーム授業と学習集団 チーム授業は,児童・生徒が4〜5人から成るチームを組んで,各チームが高い評価を目指して,チームのメンバーがお互いに励まし協力しあって共に学んでいくという授業である。こうした授業は,一種の少人数指導であり,各チームの習熟度の似た児童・生徒を集めて指導したり,チームのメンバーを習熟度に応じて構成したりすれば,それは習熟度別指導となる。また,そこにT.Tを組み込めば,こうした指導をより細やかにおこなうことができる。 3.類似探求授業と学習集団 類似探求授業とは,まず,1つの算数・数学的素材(数,図形,数量関係等)を提示し,それと算数・数学的に似ているものと似ていないものを教師が例示し,類似性に児童・生徒の意識を集中させた後,児童・生徒の話し合い活動をもとに,教師が順に示すものを似ている仲間と似ていない仲間に分類し,似ている仲間に共通する類似性を児童・生徒に見つけさせるという授業であり,T.TではT_2が児童・生徒の立場から類似性の認知を支援できる。 また,この授業は,もとにする算数・数学的素材をどのように提示するか,また,似ている仲間・似ていない仲間として何をどのような順序で示すかによって類似性の認知の難易が異なり,習熟度の違いによって,それらを柔軟に対応させることができる。
|