研究課題/領域番号 |
19K18080
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 伸孟 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30791066)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 膵癌 / 軸索誘導 / ROBO4 / Slit/Robo signaling / 予後 / バイオマーカー / axon guidance gene / 間質 / 神経周囲浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は組織学的に豊富な間質(stroma)増生を伴うことが特徴であるが、この間質増生と膵癌の臨床的悪性度の関係は非常に複雑である。また、膵癌の局所進展様式として膵内・膵外の神経周囲浸潤が特徴的であるが、これを裏付けるように、近年のgenome-wideな遺伝子解析により、axon guidance gene (AGG)と呼ばれる神経軸索成長に関わる遺伝子群の変異・発現異常が膵癌に特徴的であることが判明してきた。膵癌の間質とAGGの詳細な関係を明らかにすることは膵癌に必要なコンパニオン診断や新たな治療ターゲットの創出という観点からも重要と考えられ、本研究を立案した。
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研究成果の概要 |
SLIT/ROBO pathwayに代表されるaxon guidance gene familyは、神経ネットワーク構築に関与する遺伝子群であり、種々の発癌過程に関与することが考えられている。 本研究で、ROBO4の発現は原発性膵癌細胞株において全般的に低く、ROBO4の更なるknock downは膵癌細胞の増殖能や浸潤能を悪化させることを確認した。また臨床検体におけるROBO4発現低下症例は有意に予後不良であることが分かった。またその下流メカニズムとして、MMP-9の活性化をきたす経路が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌は難治癌であり、現状、癌進行を一時的にでも止めうる薬剤は限られている。新規薬剤開発のためには、膵癌特有の悪性化機序に則したスクリーニングが必要である。膵癌の高度神経浸潤症例は名古屋大学医学部附属病院・消化器外科のデータからも予後不良であることが分かっているが、ROBO4発現低下による神経ネットワーク構築破綻が膵癌の悪性度を高める結果となった今回の研究は、そのひとつの裏付けとなりうるものと考えられる。また、ROBO4がEMT関連遺伝子のひとつMMP-9の発現に逆相関することも興味深く、ROBO4を充足することで腫瘍進行を遅らせるという治療strategyを検討する余地があると考えられる。
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